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足のむくみが起こる原因は?
足のむくみが酷くなると、指で押した部分が元に戻らずそのまま跡になって残ることも。医学的には「浮腫」と呼ばれるこの現象は、一体何が原因で起こるのでしょうか。
足のむくみは水分が溜まって起こる
足のむくみの原因は、一言で言ってしまえば体の水分代謝不全にあります。私たちの体を流れる血液は心臓のポンプ作用により、動脈を通して全身に送られます。血液には水分や栄養分が含まれているため、血液に乗ってそれらの成分が全身に運ばれていくんですね。
同時に、細胞内で不要となった水分や老廃物も血液によって回収され、静脈やリンパ管に戻っていきます。ところが静脈やリンパ管の流れが滞り、本来回収されるべき水分や老廃物が回収されず末端に残ってしまうと、むくみとなってしまうのです。
長時間の立ち仕事やデスクワーク
むくみを生じる原因は多々ありますが、その1つが重力。長時間の立ち仕事やデスクワークをしていると、重力により血液は足に溜まっていきます。すると静脈内の圧力がどんどん上がってしまい、足に溜まった水分を戻せなくなってしまうのです。
夕方足のむくみが酷くなるのは、1日かけて足に水分や老廃物が溜まってしまった結果とも言えますね。
運動不足による血行不良
足の筋肉は、末端から心臓に血液を送り返して血液を循環させるポンプ機能を持っています。そのため、運動不足により足の筋肉が衰えてしまうと、ポンプ機能が低下してしまって足に水分や老廃物が溜まってむくみやすくなります。
さらに、足先の毛細血管などの末端まで、血液がスムーズに流れにくくなってしまうため、冷え性になるリスクも高まるんですよ。
水分や塩分の過剰摂取
水分や塩分を摂りすぎると、血中の水分が増えます。余分な水分が増えれば増えるほど、体には排出しきれない水分が溜まっていてしまいますので、どんどんむくみやすくなってしまうのです。
塩分含有量の多い、ファストフードやインスタント食品などをよく利用するという方は、注意するようにしてくださいね。
足のむくみは病気が原因のこともあるの?
足のむくみは、生活習慣により生じる一過性のものである場合が多いですが、中には病気が原因でむくみを生じている場合もあります。慢性的なむくみが一週間以上続いている場合は、できるだけ早期に病院(内科、循環器科)を受診して、診察を受けるようにしてくださいね。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は、足に静脈瘤を生じる病気。慢性的なむくみのほか、だるさや鈍痛、熱っぽさ、足がつる、かゆみ、静脈がボコッと浮き出てくるといった症状を生じます。
命に関わる疾患ではありませんが、放置して症状が悪化すると血管から血液が染み出して皮膚が硬く黒ずんだり、湿疹ができて強いかゆみを生じる場合があります。
下肢静脈瘤でむくみを生じるのは、静脈内にある血液の逆流を防ぐ静脈弁が壊れて血液が逆流し、血液が足に留まってしまうから。下肢静脈瘤になると足に違和感を感じる場合が多いですので、もしなんらかの兆候があったら、早めに医師に相談しましょう。
心不全
心不全は、心臓がポンプ機能を正常に果たせなくなった状態のことを言います。心臓から血液が送り出される時の圧力が弱くなるため、心臓から遠い足の血行が悪化してむくみなどを生じてしまうのです。
心不全が原因の場合、むくみの他に動悸や息切れ(階段を登った時など)といった症状が見られます。また夕方になると足のむくみと疲れが出てくるのが特徴。
もし、これらの症状が長期間続いているようであれば、一度病院を受診してみてください。心不全は動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの疾患が原因で生じている可能性もあるため、注意が必要です。
肝臓や腎臓の機能が低下している
足のむくみに関連していると考えられているのが、アルブミンという血中に含まれているタンパク質。アルブミンはアミノ酸などの栄養素の運搬、血液の浸透圧を調節するといった役割を持っています。
そのため、アルブミンの量が少なくなると、細胞から余分な水分を血中に回収する機能が低下して、むくみを生じやすくなってしまうのです。
アルブミンは、食べ物に含まれるたんぱく質を材料に肝臓で合成され、腎臓でろ過を受けます。つまり、肝臓や腎臓の機能がなんらかの原因により低下してしまうと、アルブミンの合成量が減って足がむくみやすくなってしまうんですね。
肝硬変などの肝臓障害が起きている場合は、足だけではなく全身にむくみを生じますし、腎臓障害が起きている場合は、まぶたや顔にもむくみを生じやすくなります。比較的自分でも自覚しやすい症状ですので、これらの症状が確認できたら病院でアルブミン検査を受けるようにしてくださいね。
足のむくみを効果的に解消するマッサージ法!
足のむくみを解消するには、足全体のリンパの流れを改善してあげるのが近道。5分もあれば、自宅で簡単に出来てしまう効果的なマッサージ法をご紹介しますので、むくみに悩んでいる方はぜひ試してみてくださいね。
1)太もものリンパ節を刺激する
方法 |
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①あぐらをかくように両膝を曲げて座り、足の裏同士をくっつけます |
②両手の手のひらを重ねて太ももの付け根部分(鼠径部)に当て、ゆっくり体重をかけます |
③左右の足でそれぞれ5回ずつ行いましょう |
始めに太ももの付け根にあるリンパ節を刺激しておくとリンパが流れやすくなるため、以降のマッサージの効果を高めることが出来ます。
2)膝から足の付け根をなであげる
方法 |
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①座った状態で足を前に伸ばし、膝を軽く曲げます |
②足を両手で包み込み、膝から太ももに向かって優しく撫で上げましょう |
③太ももの裏側、内側、外側で分けて行います |
④左右の足でそれぞれ5回ずつ行いましょう |
まずは、太もものリンパの流れを促してあげましょう。太ももは太さがあるので、裏側、内側、外側に分けて行うのがポイントです。
3)膝の裏にあるリンパ節を刺激してリンパの流れを促す
方法 |
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①膝の裏の凹んでいる部分に、親指以外の4本の指を当てます |
②体の上の方向に向かって、10回さすります |
③反対の足も同様に行います |
④膝の裏が終わったら、膝の上も手のひらでさすり上げましょう |
膝の裏にもリンパ節があるため、この部分を刺激するとリンパの流れを促してあげられます。手のひらで温めるイメージで行うと、より効果的です。
4)ふくらはぎを優しくなであげる
方法 |
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①足首を両手で包み込みます |
②足首から膝の裏にかけて、両手の手のひら全体でさすり上げていきましょう |
③左右の足について、それぞれ5回ずつ行います |
ふくらはぎの、リンパの流れを促すマッサージです。膝の裏にあるリンパ節に、水分や老廃物を流してあげるイメージで行ってみてください。
5)つま先から足首にかけて軽く刺激する
方法 |
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①足首を反対側の足の太ももの上に置き、軽く回します |
②足の甲と裏の両面を、つま先から足首にかけて5回ずつさすります |
③①〜②を反対の足についても同様に行います |
④1)〜5)までのマッサージを、5)〜1)の順番で行います |
一通りマッサージが終わったら、1)から5)までの順番を逆にして行いましょう。太ももの付け根にあるリンパ節まで、水分や老廃物を流してあげるイメージです。
さらにマッサージ効果を上げるポイント
マッサージ効果をさらに高めるなら、体が温まって血行が良くなっている入浴後にマッサージを行いましょう。また、マッサージ用のクリームやオイルを使用すると滑りが良くなりますし、肌に摩擦などの刺激を与えずにマッサージを行うことが出来ます。
体の末端から中心に向かって、優しく撫でるようにさすりながらマッサージを行うのが基本ですが、太ももは太さがあるので気持ち良いと感じる程度まで少し強めの圧をかけてもOK。全身のリンパの流れを改善するイメージで、マッサージしてみてくださいね。
マッサージを行う際の注意点
リンパマッサージは、飲酒後に行うと酔いが回る可能性が高いですので、飲酒後はやめましょう。また、妊娠中、心臓病、糖尿病、高血圧などの方は、体に悪影響を及ぼすリスクがありますので、自己判断で行わず主治医の指示を仰いでから行うようにしてくださいね。
時間がない時にオススメ!1分間マッサージのやり方
時間がない方にオススメなのが、こちらの1分間で出来るリンパマッサージ。たった1分間でも、毎日しっかり行えばむくみがスッキリ解消されます。お風呂上がりの毎日の習慣にして、むくみを解消してしまいましょう。
1)10秒かけて足の裏を押す
方法 |
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①両手で足裏を包み込み、両手の親指で足裏全体を押していきます |
②痛みが強い場合は、「痛い」と感じない強さで押しましょう |
③反対側の足も、同様に行います |
足の裏にはたくさんのツボがあるため、足裏を刺激してあげると全身に影響を与えることが出来るんですよ。
2)10秒かけて足の甲を押す
方法 |
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①両手で足の甲を包み、両手の親指で足の甲全体を押していきます |
②痛みを感じる部分があれば、力を弱めて回数を多めに押すようにします |
③反対側の足も、同様に行います |
足の甲は裏側よりも押しにくいのですが、むくみ解消に効果的なツボが点在しています。全体をまんべんなく丁寧に押すよう、心がけてみてくださいね。
3)10秒かけて足の指をもむ
方法 |
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①足の親指の付け根を、手の親指と人差し指と中指でつまみます |
②指の付け根から爪先に向かって、指先の腹で引っ張るように圧力をかけて揉んでいきましょう |
③親指〜小指まで一通り終わったら、反対側の足も行いましょう |
実は、足は指先にもたくさんのツボがあります。細かい部分ですので、つい手を抜いてしまいがちですが、丁寧に揉むようにしていると効果がしっかり実感できるようになりますよ。
4)15秒かけてふくらはぎをほぐす
方法 |
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①手のひら全体を足首付近にぴったりくっつける |
②両行うのが手を交互に使って、足首から膝裏のリンパ節までさすり上げる |
③反対側の足も、同様に行います |
ふくらはぎはむくみやすい部分ですので、丁寧にマッサージするようにしましょう。指先が足の肌から離れてしまいやすいので、常に肌に密着させるイメージで行うのがポイントです。ただし、指先に力を入れないように注意してくださいね。
5)15秒かけて太ももをほぐす
方法 |
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①太ももの内側に両手の手のひらをつけます |
②膝から足の付け根に向かって、両手で交互にさすりましょう |
③内側のマッサージが終わったら、太ももの外側もマッサージしていきます |
④反対側の足も、同様に行いましょう |
太ももの付け根には、鼠径(そけい)リンパ節と呼ばれるものがあります。ここに、足全体の余分な水分や老廃物を流し込むイメージで丁寧にマッサージしてみてください。
この1分間マッサージは、お風呂に入りながらでも行えますので、ぜひ毎日の習慣として取り入れてみてくださいね。
足のむくみを取るならツボ押しも効果的!
マッサージにツボ押しを合わせて行えば、さらに効果的にむくみを解消出来ます。ツボ押しは仕事や家事の合間など、ちょっとした隙間時間でも行えますので、気が付いた時にこまめに押すようにしてみてください。
湧泉(ゆうせん)

出典:dietsite.biz
足の裏の中心部分、足の指を曲げた時に凹む場所にあるのが湧泉。足のむくみの解消効果が期待出来るほか、長時間の立ち仕事や歩行による疲労回復、筋肉疲労の改善、冷え性、生理痛などにも効果のあるツボです。
手の親指で数秒間強めに押し、数秒間離した後に再び押す、という動作を繰り返しながら押しましょう。
足心(そくしん)

出典:dietsite.biz
足の裏のちょうど真ん中付近にあるツボです。足の指を開きながら伸ばした時に凹む辺りを目安にしてください。このツボを刺激すると、腎臓の働きが良くなって体の水分量の調節機能が正常に働くようになります。
むくみは体の水分代謝が滞って起こるものですから、むくみの改善には最適のツボと言えそうですね。
心臓(しんぞう)

出典:dietsite.biz
心臓は、左足の裏の中指と薬指の間をかかと側に3cmから4cm程度進んだ場所にあります。右足のツボは別のツボですので、注意してくださいね。
心臓は血行改善に効果的なツボで、下半身のうっ血によるむくみや老廃物の蓄積を解消する効果が期待出来ます。
水泉(すいせん)

出典:dietsite.biz
水泉は、足の内くるぶしとかかとを結んだ線上のちょうど中間部分にあるツボ。体内の水分代謝を良くする働きがありますので、むくみ解消効果が期待出来ます。
また、ホルモンバランスを整える効果もあるため、生理中に足がむくみやすくなるという方にもオススメです。
ツボ押しのポイントは?
ツボ押しのポイントは、痛気持ち良いと感じる力加減で行うこと。強く押しすぎると逆効果になることもありますし、弱すぎると効果が得られません。ゆっくり息を吐きつつ徐々に力をかけながら押して、ゆっくり息を吸いながら離すようにしてくださいね。
ツボを押す時間は、1回あたり3秒から5秒程度が目安。3秒から5秒かけて押し、3秒から5秒かけて指を離すという動作を、5回から10回程度繰り返すようにしましょう。
押す回数が多すぎると、気血の経路が圧迫されて逆に流れが悪くなってしまうこともありますので、ツボの押し過ぎに注意するようにしてくださいね。
足のむくみを解消するオススメグッズはこれ!
現在、たくさんの足のむくみ解消グッズが市販されています。日常使いにちょうど良いオススメグッズをご紹介していきますので、どのグッズを購入すべきか悩んでいる方は参考にしてみてくださいね。
メディキュット(ドクターショール)

出典:mediqtto.jp
足のむくみを解消する着圧靴下といえば、こちらのメデュキュットシリーズが有名ですね。使用シーンごとに様々な製品が販売されていますので、自分の使いやすいシリーズを選んでみてください。
オススメは就寝中に使える「寝ながらメディキュット」シリーズ。疲れた足が翌朝にはスッキリしているので、気持ちよく1日を始められますよ。
購入はこちら!
足すっきりシート 休足時間(LION)
立ち仕事などで疲れた足のふくらはぎや足首、足の裏などスッキリさせたい部分に貼るだけで、ひんやりリフレッシュしてくれるシート。貼るだけで良いので手軽に使えるのが嬉しいですよね。お風呂上がりや寝る前に貼れば、寝つきも良くなるはずですよ。
冷蔵庫に入れて冷やしておくと、さらに冷感がアップして気持ちよく使うことが出来ます。
LEG ANGEL(Dr.Smith)
身につけたまま眠れる、足専用枕がこちらのレッグ・エンジェル。太ももを適度に締め付けることが出来、さらに睡眠時にかかとを浮かせてくれるため、夜身につけて眠れば翌朝にはむくみがスッキリ解消していることを実感できます。
また、足を温めてくれる効果も高いため、身につけているだけで足全体が温まり、しっかりほぐしてくれます。夏場のエアコン対策にも使えますし、冬場の足先の冷えにも効果的。また、汗を急速乾燥させる炭シートが使われているため、汗による蒸れや匂いも気にならないという優れものです。
足のむくみを予防するために出来ること
足は一度むくんでしまうと、解消するのはなかなか大変です。そのため、可能ならむくみ予防に効果的な生活習慣を実践するようにしてみてください。ちょっとした工夫を日常生活の中に取り入れるだけで、ぐっとむくみにくくなるんですよ。
適度に歩くようにする
足のむくみは、ふくらはぎや太ももの筋肉が弱って、うまく血液を送り出せなくなって生じる場合が多いです。そのため、足のむくみを予防するなら普段から散歩やウォーキングなどを行なって、適度に歩くようにしてみてください。
下半身の筋肉は体の中でも最も大きい部分ですから、ふくらはぎや太ももの筋肉が強化されると全身の血行が良くなって冷え性などの改善効果も期待出来ますよ。
出来る限り階段を使うようにする
階段の上り下りは、足の筋肉を効果的に使えるため血行改善には非常に効果的。普段、エスカレーターやエレベーターばかり使用している方は、出来るだけ階段を使うように心がけてみてください。
普段在宅での仕事が多く、身の回りに階段がないという方は踏み台昇降運動を行うだけでも、ふくらはぎや太ももの筋肉に刺激を与えることが出来ます。
足関節運動で血液の流れを促す
方法 |
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①かかとを床につけて、つま先をあげる |
②つま先を床につけて、かかとをあげる |
③①と②を交互に数回繰り返す |
たとえデスクワーク中でも、誰にも見つからず手軽に行える、むくみ予防法がこの足関節運動。つま先とかかとを交互にあげるだけですが、その効果は抜群です。
1時間ごとに行えば、より効果的に足のむくみを予防出来ますので、むくみに悩まされている方はぜひ試してみてくださいね。
弾性ストッキングを活用する
弾性ストッキングとは、足首から上に行くに従って段階的に圧力が低くなるよう設計されているストッキングのことで、足の静脈の血液が心臓に戻る作用を効果的にサポートしてくれます。
弾性ストッキングは、むくみの程度により目安の圧力が記載されていますので、自分のむくみ具合に応じて製品を選ぶようにしてください。
弾性ストッキング購入の目安 | |
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軽度のむくみ | 足首部分の圧力が13.3hPa程度のもの |
重度のむくみ | 足首部分の圧力が26.6hPa以上のもの |
弾性ストッキングは、夜間寝ながら使用することを想定して設計されていません。そのため、夜寝ながら履いて寝てしまうと、静脈内にかかる圧力が強くなり過ぎてしまって足に大きな負担をかけることになります。
寝ながら使用したいのであれば、日中用の製品を使い回しするのではなく、夜間専用の製品を購入して使用するようにしてくださいね。
足のむくみは放置すると悪化しやすい!
足のむくみは病気による可能性もありますが、多くは一過性のもの。つい放置してしまいがちですが、放置していると足の疲れが解消せず、血行が悪くなって免疫力の低下に繋がる場合もあります。
また、足のむくみは放置していると悪化しやすいですので、むくみやすい方はしっかりとむくみケアを行うようにしてください。もし、少しでも病気の疑いがあるようであれば、出来るだけ早く病院を受診して医師に相談するようにしてくださいね。