玄米スープとは?
料理研究家辰巳芳子さんの著書「あなたのために: いのちを支えるスープ」では、作り手はスープの作り方をある法則として学び、それをめいめいが日々の営みという過程の中で独自の調理法として完成させて達成していくことができると説いています。辰巳さんはスープ教室を6年間続けて、試行錯誤の中、改良し安定させたレシピをこの中で紹介しています。
玄米が材料のこのスープは万能点滴とも言われています。乳ですら受けつけられないほど弱ったわが子のために母親が心をこめて作った玄米スープは奇跡的に子供の命を救ったそうです。辰巳さんのレシピは様々な番組でも取り上げられ、命のスープとして有名です。時を超え語りつがれるものとして多方面で紹介されています。玄米を使い、簡単で、それでいて奥深い味わいがあるスープを作り出しました。
玄米スープは、精米されていない玄米を材料に、日本人にとっては、郷愁を誘う、またなじみ深い味である昆布や梅干しを出汁として使うのみです。あとは、作るひとが食べてもらいたいひとのために、思いをこめて手間ひまをかけ、弱った身体やこころを手当する、養生し労わるという、まさしく万能点滴とも呼ばれる命を守るスープです。
玄米ってなに?
玄米とは米の籾(もみ)から籾殻(もみがら)を除去した状態で、精白されていない状態の米のことをいいます。玄米は、色が薄い黄色をしています。精白されていないために、糠(ぬか)がまだ残った状態で、白米よりビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでいます。おもに、健康食品として用いられています。
玄米はビタミン・ミネラル・食物繊維などを豊富に含み、人間が健康を保つために必要とされる栄養素をほとんど摂取できるため、完全栄養食と言われています。とくにビタミンB1が白米よりも多く含まれています。ビタミンB1は、水に溶ける水溶性ビタミンのひとつです。ビタミンB1は皮膚や粘膜の保護、脳神経系の正常な働きを助ける役割をします。
ビタミンB2も含み、主に皮膚や粘膜の健康を助け、糖質、脂質、たんぱく質を体内でエネルギーにするなどの代謝機能を支える重要な働きをしています。一方、玄米に含まれる食物繊維は食物が消化管を通過する際に刺激を与え、大腸のぜん動運動を促すので便秘の解消に役立ちます。さらに身体を作る成分であるカリウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄などその他豊富なミネラル成分を含みます。
ところで、マクロビオティックを知っていますか。玄米、全粒粉を主食とし、主に豆類、野菜、海草類から組み立てられた食事で、野菜、穀物、豆類などの農産物、海草類を食べます。有機農産物や自然農法による食品で、なるべく近隣の地域で収穫された、季節ごとの食べものを食べるのが望ましいといいます。菜食主義、自然食、マクロビとか、マクロバイオティックとも呼ばれています。
マクロビオティック食事法は健康への効果が認めらてれおり、これまでの研究から豊富な食物繊維の効果が医学的にも実証されています。この食事法は実際の糖尿病患者の治療にも使われており、代謝の改善や高血糖や炎症指標の低下に効果があるとされています。腸内環境を整えるので、便秘の改善やその予防などに大変役立ちます。毎日のダイエットや美肌作りにも試してみたいですね。
発芽前の玄米はフィチン酸を多く含んでいます。フィチン酸は、水銀や鉛といった重金属と結合して、体内の有害物質を排出する働きをします。実は、この解毒作用のために体に有用なミネラルまで解毒してしまうのでないかという疑いがありました。しかし、米国での動物実験研究からフィチン酸が血中のミネラル(カルシウム等)の濃度に影響を与えなかったことが科学的に立証されました。
玄米の効果・効能まとめ!肌に良くてダイエットもできる健康食?
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玄米スープの作り方(基本)
基本の玄米スープの作り方をご紹介します。玄米をじっくり丁寧に炒って、それを昆布と梅干と一緒に煮込んで作ります。材料と作り方は次の通りです。作りやすい量で作ってみて下さい。
1.下ごしらえ・炒り玄米を作る
材料
- 玄米 カップ2(300g)
作り方
- 玄米は水で洗い、ボウルに入れる。たっぷりの水を注いで30分間浸して、ざるに上げて6時間ほどおく。
- 厚手で油けのない平鍋を用意する。火力全開を10とすると7の火にかけ、鍋を温めてから、玄米を入れる。最初は割と強い火にかけ、玄米を炒る。
- 玄米全体を木べらで動かしながら5~10分間ほど炒ると、玄米が小麦色になり、はぜる音が聞こえてくる。火力全開を10とすると3~4の火に弱め、玄米を炒る。はぜさせるのは玄米の中のでんぷん質を表に出すためで、でんぷん質を表に出し、栄養分をよりスープに煮出すために行う。たえず木べらを動かしながら炒り、色づかせる。
- 香りと音に集中しながら、へらを絶え間なく動かす。
- 20分間ほど炒ったら紙の上にあけて粗熱を取る。瓶などに入れて常温で1週間ほど保存可能。
ポイント
1週間以上の期間は油臭さが出てくるので作り置きする量には注意してください。
2.炒り玄米をたいてスープを作る
材料
- 玄米 (炒ったもの) 80g
- 昆布 (5cm四方) 2~3枚
- 梅干し 1個(梅干しの種3個でも可
- 水 カップ5
作り方
- ホウロウの鍋に、炒った玄米、昆布、梅干し、水を入れ、ふたをして中火にかける。
- 煮立ったらふたをずらし、弱火にする。フツフツと30分間ほど炊き、味をみて濾して完成。
玄米スープのアレンジレシピ
玄米を使ったスープやそのほかのメニューのレシピをご紹介します。分量は目安です。
黒豆玄米スープ粥
材料
- 玄米 1合
- 黒豆 35g
- 昆布 1かけ(5g)
- 水 米1合に対し3合炊き分の水(お粥を作るときより、豆の分も含むので多めに)
- 塩 ひとつまみ
作り方
- 黒豆は洗って、たっぷりの水に一晩浸けて置く。
- ボウルに玄米を入れて、たっぷりの水で3~4回かき回して、水を替えてを3回繰り返し、ざるにあげて水気を切る。
- フライパンに玄米を入れて、強火にかける。玄米の表面が乾いてきたら、中火で、5分炒る。
- 炊飯器の内釜に玄米と昆布と小豆・黒豆・塩・水を入れて、おかゆコースで炊飯して完成。
アスパラガスの塩麹玄米スープ
材料
- アスパラガス 10本
- 玉葱 1個
- 玄米(炊いた物) 100g
- 減塩の塩麹 大さじ1
- 水 適量
- 牛乳 400cc
- コンソメ(塩分控えめの物) 8g
- 胡椒 少々
- オリーブオイル 大さじ1
- トッピング用アスパラガスほか
作り方
- 玉葱は薄くスライスする。アスパラガスは下の固い部分は切り落とす(1cmぐらい)。
- アスパラガスの下から、1/3位の所からピーラーで皮を剥き、斜めに切っておく。
- 鍋にオリーブオイルを入れ玉葱をしんなりするまで炒めアスパラを入れさらに炒め、玄米も入れる。具がヒタヒタになるまで水を入れる。
- 3.にコンソメ、塩麹を入れて弱火で15分間ほど煮る(焦げないように注意)。15分間たったら火を止め粗熱が取れるまで置く。
- 4.の粗熱が取れたらミキサーに入れてなめらかになったら鍋に戻し、胡椒と牛乳を入れてフツフツとなるまで温めて完成。皿にいれ、アスパラガスなどをトッピング。
玄米と野菜のリゾット
材料
- (2人分・野菜はなんでもOK)
- ソラマメ 10粒程度
- 玉ねぎ 1/4個
- 人参 1/2本
- ベーコン 3枚
- にんにく 1かけ
- 玄米 1/2合
- 白米 1/2合
- 白ワイン 大さじ2
- オリーブオイル 大さじ2
- 水 1000ml
- コンソメキューブ 1個
- 塩 適量
- こしょう 適量
- パセリ、ナッツなど 適量
作り方
- 玄米と白米を合わせて炊飯器で炊く(玄米は白米と同じ水量で炊ける無洗米のものを使用)
- ソラマメは皮をむいて固めに茹でておく。
- 人参はサイの目に刻む。ベーコンは2センチ幅を目安に切る。玉ねぎは粗みじん切りに、にんにくはみじん切りにする。
- 鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくを入れる。
- にんにくの香りが出たら、ベーコンと玉ねぎを加え、玉ねぎが透明になるまで中火で炒める。
- 人参、塩、こしょうを加え、人参がしんなりするまで炒める。
- ソラマメを加え、さらに炒める。
- 白ワイン、水、コンソメキューブを加えて火を強火にし沸騰させる。沸騰したら中火で10分間程煮る。
- 炊いたお米を加えてかき混ぜながらさっと煮る。お好みで塩、こしょうで味を調節し、火を止める。
- 器によそい、細かくちぎったパセリやナッツを散らして完成。
まとめ:万能点滴ともいわれる玄米スープとその理由や作り方について
玄米スープとは、完全栄養食とも言われる玄米に、昆布と梅干という単純な材料を加えるだけで、あとは作る人が心をこめて作る優しいスープです。弱った身体とこころをそっと癒してくれる究極の玄米スープは万能点滴ともたとえられます。ダイエットに美肌作りにと役立つスープ作りをどうぞ試してみてください。毎日よりよい健康作り目指して一緒に頑張りましょうね。